2012年12月17日(月)

能の上演会:カンヌカルノ高校にて

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日本とフランスの文化交流の一環として、特にカンヌ市と姉妹都市である静岡市とも深い関係もあったため、カンヌ日仏協会会員とカンヌ市カルノ高校の生徒達の為に、静岡大学名誉教授であり、英語能の第一人者として活躍される上田邦義(宗方)氏によるシェイクスピア作ハムレットの能の上演会が開かれました。

カルノ高校のご協力により、カンヌ日仏協会が開催したこの上演会は、まずシェイクスピア作ハムレットより一部が英語能として上演され、上田(宗方)氏による作品の解説の後は、長時間に渡り観客と上田(宗方)氏の間で、上演された作品だけではなく伝統芸能としての能に関する質疑応答がありました。

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写真提供:ロイック・バエク氏

1970年代後半から、上田邦義(宗方)氏はシェイクスピア作品を英語のまま、日本の伝統芸能である能で表現できないかという事に尽力されてきました。これはシェイクスピアの世界を使う事で、日本の伝統芸能の一つである能の文化を、広く世界に発信する事が出来るのではないかという思いからだったそうです。

彼の明確な告白から、原語によるシェイクスピア作品への愛情と、日本の伝統芸能「能」への強い関心が彼、上田(宗方)氏を人生最大のチャレンジへと導いた事が伝わります。彼の手法は、台詞を全て能へアレンジするという厳密なものではなく、登場人物、感情、哲学が能の典型的な台詞回しや表現法を使って表せるように力を入れているそうです。

彼の解釈では、ハムレットは憤慨している若い青年ではなく、自分の行動や自分が愛した人に対し、じっくりと瞑想をするようなもっと落ち着いた人物だという事です。

モナコ公演の後、イギリス公演直前に愛弟子のオヤマアツヒコ氏を伴い、カンヌでこのような上演会をしてくださいました。お二人に感謝をすると共に、アシスタントとして重要な役割に携わってくれた木下エミコさんへもお礼を申し上げます。